「お前自は噓を言っているようには思えぬが、の中で確かに煌阿はあの時、俺の後に現れたお前を殺そうと明確に手をばしていた。俺が直接手を出さねばお前はあの時に手痛い一撃をけていた事は間違いない。それはお前も分かっていた事だろう？」

そのシギンの言葉に神斗は腕を組んだ後に、座ったままで背筋をばそうと態勢を後ろにずらし始めた。

「私の憶測にすぎないが、それは彼が封印されてから何故私や悟獄丸は助けに來なかったのかと逆恨みをしたのではないだろうか？　彼は常に冷靜に事を考える方じゃなく、たまに先走ったり自分のやる事を深く考えずに行するところがあったからね。きっと長い年月をあんなで過ごす事になって苛立ち任せに飛び掛かって來たんじゃないかと思うよ」

（いや、あれはそのような衝的なではなかったように思うがな。そもそも最初に奴が神斗を見た時は、冷靜に神斗の名を呼んでいた。それを見るに何者かにられているといった洗脳狀態のような様子はじられなかった。つまり単に煌阿の奴は神斗を見て、普段通りに接しようと思い聲を掛けたが、その時にふと忘れていた事を思い出して、それがあまりにも許せなかった事なのだと理解した者が咄嗟に取るような行だったように思えたが……）

実際に煌阿があの時にどういう気持ちであったのかなど、そもそもの煌阿の格を知らぬ以上は憶測でしかシギンも考えられはしないが、それでもよっぽどの事がない限り、今の話にあったような神斗と煌阿の関係であれ程の殺意を見せはしないだろうと考えるのだった。

これ以上神斗に煌阿の真意を尋ねても分からないだろうと判斷したシギンは、そこで神斗と會話を打ち切ろうと席を立ったが、そ・の・瞬・間・に・信・じ・ら・れ・な・い・『魔・力・』を・・近・か・ら・・じ・た・シ・ギ・ン・は・、慌てて戦闘態勢にるかの如く『オーラ』を纏い始めるのだった。

「むっ――！」

そして対面に座っていた神斗も立ち上がったシギンに違和をじた為、こちらも直ぐに立ち上がると同時に後ろへと跳躍を行おうと腳に力を込め始めた。

――しかし、神斗が跳躍を行う前に突如としてその腳に力がらなくなり、その場にい付けられたかの如く彼はけなくなるのだった。

神斗は一何が起きたのかをしっかりと把握しようと、かない足の代わりに視線で報を得ようと試みる。何事も報がなければ正著といえるきが出來ない為、この十全にの機能を果たせる間にすべき事を把握しようというわけであった。

そして自分の足がけなくなった理由だが、それは直ぐに理解が出來るのだった。

――何と、ソレはシギンの『金』のオーラが発された瞬間に、その煌々と照らされているオーラの側の空間から出現を果たしているのが見えたからであった。

（ま、まさか！　あれは煌阿こうあなのか！？）

神斗はその両目で捉えた鬼人の『殿鬼でんき』の姿に、煌阿の『魔力』をじ取ったのであった。

この場に出現を果たしたと同時にすでに狙いを神斗に定めていたようであり、煌阿はシギンを無視して確実に神斗をこの場から逃げられないように『呪いまじな』を用いて固定させてみせた。

しかしシギンを後回しにしたという事は、そのシギンの攻撃に対しては防を取れないのが必然となる。

「あんな程度でお前が消滅したのはおかしいと思っていたが、まさか俺の『魔力』の側に潛んで機を窺っていたとは思わなかったぞ！　見事という他ないが、しかし先に神斗を狙ったのは間違いだったな！」

――捉、『魔重転換まじゅうてんかん』。

――僧全捉、『殺是決どうさつぜけつ』。

――魔神域『時』魔法、『空間歪曲イェクス・ディストーション』

シギンから放たれた三つの『魔』の技法の、前者二つを甘んじてけれるつもりなのか煌阿はそのを差し出すかの如く、自ら迫りくるシギンの『殺是決』を放とうとする手の方へと近づいていく。

「な、何だと！？」

何らかの回避行を取るだろうと予測していたシギンは、その煌阿の取った突然の不可思議な行に用意していた數々の手立てを臺無しにされてしまった挙句に思考を鈍らされてしまうのだった。

「お前のその『空間』をる技法だが、俺はもう嫌という程に味わっている。この俺を相手に何度も同じ手が通用すると思うなよ！」

――『祓はらえ、穢けがれヲ宿やどす罪つみに報むくエ』。

――『過とうか』、時空干渉領域。

シギンの放った三つの『魔』の技法、その二つに対して煌阿は対抗手段を取ってみせた。

そしてシギンの『魔重転換』を煌阿の『呪いまじな』で掻き消すと同時、もう一つの『空間魔法』に対して『過』のこれまた空間の干渉と呼べる『過』で更に強引にその効力の主導権を奪ってみせるのだった。

……

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