《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第516話 アルトレリアに出來た小學校の検 その1
時はし遡さかのぼり、ダム稼働の五日前――
アルトレリアに完した小學校の校舎の検にリーヴァントと共に訪れた。
「立派な建が出來ましたね。ここで子供たちが勉強を學ぶことになるのですね」
「そうだね」
建てられた小學校は二階建て。
七歳から十五歳くらいまでの子供を學させようと思っている。
まだ子供の人數もないため、學年分けは三クラスを想定している。年齢で分けず、七から九歳、十から十二歳、十三から十五歳で分けられると思う。要は小中學校を統合したような狀態。
今後人數が増えてくるようになれば、その都度形態を変えていけば良いでしょう。
部屋數は教室が六部屋、これは後々小學校として學年ごとに分けられるようにするため、中學校は必要になった時に作る予定。ただ、數年から十數年単位で必要にならないのではないかと考えている。それもこの町の人數の増加次第。
高校以降はまだ予定として考えられてすらいない。
教室以外の部屋が、校長室、職員室、放送室、保健室、家庭科室、理科室、理科準備室、図書室、音楽室、図工室、多目的室、給食室の計十二部屋。その他予備の部屋がいくつかある。
「じゃあ中の様子も見させてもらいましょうか」
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校舎にってすぐに下駄箱がある。質魔法を使える者はそれほど多くないため、下駄箱は木造。ないながらこの地でも金屬が産出されるが産業機械の方に回す必要があるため、まだまだこちらに回す余裕は無い。
校舎は私の希により、土足厳にしてもらった。最近日本では土足でる學校が増えつつあるそうだが、昔ながらの上靴スタイルが良い。
と言うのも、土足可だと疑問に思うことが多々ある。主に『建が汚れないか?』という部分。
例えば『ドブとかに足を踏みれてしまったら、その足で建を歩くことになるがそれを汚いと思わないのか?』とか、『のフンとか踏んでしまったら、その足で建を歩くことになるがそれを汚いと思わないのか?』とか。
なので歐米の土足文化には常々疑問を抱いている。
私自、特別潔癖の気があるわけではないと思うが、気になってしまったため『土』ということに。
「あれ? 上がらないのですか?」
リーヴァントが正面から堂々と靴をいで校舎にろうとしている。
「生徒以外は壁側からるのが常識よ」
「そうなのですか? では私も」
壁近辺に設しつらえられた保護者用の下駄箱に靴をごうとしたところ……
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あ、私、常に足だった……土とか考えておきながら、ダメじゃん私……
「ちょ、ちょっと待ってて」
とりあえず一旦外に出て、玄関付近に設しつらえられている水道で足を洗う。
「この水道、初めて使うのが子供たちじゃなくて私とは……」
空中に浮かびながら火魔法で乾かし、地面に足を著けないようにそのまま空中を浮遊しながら校舎にる。
「お待たせ」
「はい」
各部屋を見て回る、その前に、
「ちゃんとスリッパに履き替えて」
「何ですかコレ?」
「室履き用の靴みたいなもんだよ。アルトレリアでも最近行商人が持って來てたりするけど、見たことない?」
驚いたのは人型以外があったこと。
この世界には獣型の足を持つ獣人などもいるため、貓のような足を持つものに適したスリッパ、奇蹄目・偶蹄目に適したスリッパ、鳥人に適したスリッパなども作られているらしい。
と言う訳で、この學校でもいくつか人型以外も揃えた。
「私はまだ見たことありませんね。行商の方が滯在するエリアにはあまり行きませんので」
「私の故郷では、學校に來客用のスリッパが用意されてたりするのよ。靴下で移しようとすると埃とか付いちゃうからね。靴下で床をってみたら分かるよ」
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そう話すと、スリッパをいで床をる素振りをするリーヴァント。
「うわ……」
足の裏に黃の木くずやが付いたのを確認。まだ建てたばかりだから掃除がされておらず、木くずが落ちたままになっている。
「今は木くずだけど、子供たちが生活する場になるとこれが埃に変わるのよ。玄関は基本的には開けっ放しだから、風が吹き込むと砂も沢山って來るからね」
「…………なるほど。このスリッパというのはすぐに履いたりいだりできて便利ですね。役所でもリラックスルームに置くのが良さそうです」
さて、気を改めて各部屋を見て回ろう。
◇
「玄関近くにすぐに大部屋なんですね」
「ここが職員室になるかな。玄関近くにあった方が良いだろうし」
機も椅子も書類も無いから、まだだだっ広い部屋でしかない。ここに機や椅子、備品が運び込まれれば晴れて職員室に様変わりする。
給湯施設も作ったからここが職員室になるのはほぼ決まり。
「『職員室』とは何ですか?」
「う~ん……大雑把に言ってしまうと『先生が待機する部屋』……かな? 授業と授業の間はここで休んだり次の授業に向けて準備したり、授業に使う資料とか用意したり、放課後は績付けたり、テストの採點をするらしい。私は教師の経験は無いからこんなじのイメージだね」
「基本的なことを聞くようですが、『先生』というのは『教師』のことなんですよね?」
「そうだね」
「ですが、お醫者様のアスクさんも『先生』と呼ばれてませんでしたか?」
「ん? う~ん……」
ややこしいところに気付いたな……
「教える立場のことを『先生』って呼ぶのよ。醫者も若手には教えるからね」
まあ……これにはよく分からんところもあって、その理屈で言うと會社で指導してくれる先輩は『先生』に當たることになってしまうわけだが……
あと、なぜか代議士とかも『先生』とか言われてるよね……
「なるほど、教える立場が『先生』ですか。では続いて疑問なのですが『授業』は子供たちが勉強をする時間ですよね? 『放課後』というのは初めて聞きましたが?」
「『放課後』はその日の授業が全部終わった後のことかな。子供たちはもう帰るけど、先生はまだここから仕事をしなきゃならない」
「先生って大変な仕事なんですね……」
「そう聞いてる。教師の仕事は過酷だと」
中には寢る間を惜しんで授業の資料を用意したり、宿題の採點をしたりもするらしいし、ホント先生の仕事量を聞くと頭が下がる思いだ。
「そんな大変な職業なのに、この町に來てくれる先生がいらっしゃるのでしょうか……?」
う~ん……確かに……
しかも、この學校の最初の先生がこの町の出じゃないわけだしな……先達が居ないところへ來てもらって、生活も児たちの扱いも全然違ってノイローゼとかにならなければ良いが……
「い、一応話は付けてもらったわけだから、大丈夫だとは思うんだけど……」
先生の派遣については、ウィンダルシアに頼んでおいたけど、話は通ったのかしら? (第503話參照)
「ところで、なぜここに電気コンロが? ここで食事でも作るのですか?」
「いや、食事作るのはもっと別の部屋がある。ここは基本的には飲みを沸かすくらいだね」
「それとコンセントが沢山ある部屋ですよね。こんなに使って大丈夫なのでしょうか? 停電しませんか?」
まだ町中に電気が流れて無いとは言え、役所などない場所では自家発電機がいているため、リーヴァントたちにももう見慣れたものになりつつある。
(※時期はまだダム稼働前です)
確かに役所は自家発電だったから、あまり使えないようにコンセントもなめにしてあった。
「発電施設が完したらしいし、もうしで沢山電気が使えるようになると思う。存分使わせてもらおうよ。じゃあ次の部屋へ行きましょうか」
現狀はコンセントと給湯室があるだだっ広い部屋だから特に見るものもないしね。
◇
次の部屋は放送室。
「変わった部屋ですね、狹いし……」
「ここは放送室だね」
もちろん放送設備も整えてもらった。
全部屋へ放送が屆くようになっている。
きちんとした學校は防音室も設えてるところもあるらしいけど、この町はまだまだそんな余裕は無いので部屋のみ。
あとは放送するための機材を運び込んで環境を整えなければならない。
「『放送室』とは?」
「お晝の放送とか、下校の放送とかする部屋かな」
「お晝の放送? 下校の放送? 『下校』とは何でしょう?」
學校無いところだから『下校』って単語も無いよなぁ、そりゃあ……
「下校ってのは児が帰る時間のことだね。大午後四時とか五時とかが下校の上限のところが多いかな」
「『児』?」
そこに引っ掛かる?
全部アルトレリアには無い単語だから、説明するのが面倒だな……まあ仕方ないか……
「児ってのは……小學生のことだね」
「『小學生』というのは小學校ここに通う子供のことですよね?」
「そうだね。ちなみにその上に中學校、高校、大學、大學院とあって、『児』だった呼び名が中學生から高校生は『生徒』に変わり、大學生になると『學生』に変わる。魔界でもそう呼んでるかどうかは知らないけど」
「同じ子供なのに呼び方が違うのですか? ややこしいですね……」
ホントにね……どの時代も學んでるのは間違いないんだから『學生』で統一してくれれば良いのに……
「話の腰を折ってしまったようですみません。下校の上限というのは?」
「下校時間を過ぎてそれ以上居殘ってると怒られたんだよ」
「怒られるんですか? ただ居殘ってるだけなのに?」
「『子供』だったからね。仮にここにあなたの息子のレイヴァレンくんが遅くまで居殘って、いつまでも家に帰って來ないことを想像してみて。心配になるでしょ?」
「………………確かに……」
「親さんを心配させるから、先生が下校を促す時に言葉にちょっと怒気が籠るんだよ、『お前らいつまで居殘ってるんだ!』ってね」
「なるほど」
「私もついつい友達と話し込んじゃって怒られたことがあるよ。で、その下校の時間に合わせて『下校の時間なので帰りましょう』っていうのを學校中に流すのが下校放送。その逆に學校に來ることを『登校』って言う。これは朝七時とか八時くらいだね。場所によっては九時っていうちょっと遅い時間の學校もあったけど」
「なるほど、下校に登校ですか」
友達か……私と一緒に車に轢かれちゃった親友のアイはどこかで元気にやってるだろうか……?
以前彼の家を見た時に仏壇に影があったから死んじゃってるのは確定してるけど…… (第2話參照)
まさか魔界こっちに來てないよね?
ああ……でも彼、晩年は引きこもりで怠け者だったから、怠惰の罪とかで來てる可能はゼロではないのかな……
そうだ! こういう時こそカイベルさんじゃないか! そう言えば彼を創り出してから一度もアイについて訊こうとしたことが無かった!
帰ったら聞いてみよう!
「『お晝の放送』と言うのは?」
「晝食の給食食べる時に音楽流したり、放送委員が小話を話したりしてたね」
「『給食』とは?」
疑問が泉のように湧いて出てくるな……
「學校で出されるお晝ご飯のことだね」
「學校とはご飯まで提供されるのですか!?」
「ま、まあ全部の學校ではないと思うけど、多くの學校でそうだったね。子供たちの栄養不足を補うことを目的として始められたらしい」
「至れり盡くせりですね!」
ここの暮らし考えれば、確かに私たちは恵まれてるのかもな……
この町も多裕福になってきたとは言え、まだまだ細の型の子が多い。
子供たちの栄養を考えると、この學校でも給食にしたいところだけど……さて、どの程度のことまで出來るかな。
開校されるまでに調理師と食材の手経路を確保しておかないと。
「しかし……今後我々はそれら學校に関する単語を全部覚えなければならないんですね……」
「大丈夫、學校が出來れば、子供が居る家は自然と覚えていくだろうから」
「下校放送があるなら登校放送というのはあるんですか?」
「登校放送? さあ? 私は聞いたことないね。多分無いんじゃない?」
登校時に放送する必要が無いし。登校放送なんて無いよなぁ……? 登校放送がある學校なんてあるんだろうか?
「次の部屋へ行きましょうか」
登校放送がある學校ってあるんでしょうか?
リーヴァントの息子の名前、かに初登場です。出すのを忘れててどこで出そうかと迷ってましたが、今回出してしまうことにしました。
次回は10月24日の20時から21時頃の投稿を予定しています。
第517話【アルトレリアに出來た小學校の検 その2】
次話は木曜日投稿予定です。
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