《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》11話 警察は取り合ってくれない
しばらく吐いたら杏奈も落ち著きを取り戻していた。
「おい、杏奈。大丈夫かよ」
「大丈夫じゃないけど、吐き気は治ったわね」
「全く可げのないだよ。気が強すぎだろう」
藤也は呆れて肩をすくめる。確かにこのような狀況で倒れて、泣いてぶような弱いの方が男好みかもしれない。例えば元同僚の真澄なんかはそんなタイプだ。
一方杏奈は、吐いたとはいえ頭はだんだんと冷靜になってきた。確かに貓の死ぐらいで気を弱くするのも自分のキャラじゃないと思う。長年、ブラックな學校に勤めていたのですっかり気が強くなっていた。客商売の今の仕事も大変な事はあるけれど、ブラックな前職と比べればまだだとマシだと思うぐらだ。
「それにしても誰がミケ子を殺したの? 何なのよ、この魔法陣は」
だんだんと冷靜になってきた杏奈が、ミケ子の死のそばの魔法陣を指さす。
『絶対悪魔崇拝よ!』
ミャーはび聲を上げていた。
「まったくだ。たぶんイルミナティの結社の連中が、悪魔崇拝儀式をしたんだ」
Advertisement
「ちょ、藤也。決め付けすぎだって。そもそもこんな田舎で悪魔崇拝儀式するメリットってある? ここは駅にも近いし、見つかるリスクだってあるのよ。謀論じゃない」
杏奈は藤也にツッコミをいれた。ツッコミをれられるぐらい元気が回復したとはいえ、頭の痛い謀論を聞かされると余計に気分が悪くなる。
『だったら、この町の人が犯人よ。藤也、地平町でイルミナティ結社員はいるの?』
ミャーは、藤也の謀論に同意していて杏奈は頭を抱えそうになる。
「何なのよ、こいつら。頭おかしいって。アタオカだって」
杏奈のぼやきは無視され、ミャーと藤也は謀論をキャッキャと嬉しそうに語っていた。塩顔モヤシ男と貓が謀論を語り合う姿は、どこからどうツッコんでいいかわからず、杏奈は額を抑えて深いため息をついた。
ちょうどその時、パトカーの音が響く。
しばらくして警察がやってきた。警察は大きな懐中電燈を持っているため、辺りはちょっと明るくなる。ミャーはこの狀況を察して、どこからどう見ても何の変哲もない貓に擬態し、黙りこくった。ここでミャーが話し始めると余計に狀況はややこしくなるだろう。
「おいおい、貓の死か? なんだ、これは?」
警察の一人は、見覚えのある顔だった。杏奈と藤也は思わず顔を見合わせた。
中學に同級生だった空谷治だった。向こうも杏奈と藤也に気づき、ニヤニヤ笑ってきた。
「なんだ、アタオカの牧師とぶりっ子の橋口じゃねぇか。お前ら何しにここのいるんだ?デートか?」
ゲスい勘ぐりをしている空谷に杏奈はため息をつく。
「いや、我々は謀論の悪魔崇拝儀式がないか調査いたんだよ」
「謀論? 全く藤也も橋口もアタオカだな〜」
一緒にすんな!と杏奈がぶそうになるが、空谷はミケ子の様子を警と一緒に確認した。
そういえばここは田舎だ。噂が広がりやすい。藤也とデートしていたという噂を立てられるよりは、謀論やっているという噂を広められた方がマシだと思った。
空谷は、格が良い男だとは決して言えない。中學生の頃からいじめっ子だった。漫畫やアニメ好きのヲタクを揶揄うのは日常茶飯事。ヤンキーと連み、カツアゲのような事をしていた空谷が警察とは皮なものだ。
まあ、他にいじめっ子だったギャルも看護師や介護士になっているらしい。おかげで杏奈はコロナ渦の社會でも醫療従事者は気が強いものがなるものだという偏見があった。
それに空谷には、よくない噂もある。家族がカルト信者で、家の周りには教祖様のポスターがベタベタとってある。空谷自が信者かどうかは知らないが、カルトの勧をしまくっているという噂をきく。斷った人は嫌がらせもしていらしい。といっても絵や鳩子から聞いた話しなので、実際どうかは証拠は無いが。
杏奈と藤也は貓を見つけた狀況を最初から全部話した。杏奈も藤也も冷靜なタイプなので、一から十まで理論的にを挾まず説明したが、空谷は欠をし、ろくに話を聞いていない。
「おい、空谷。これは確実に悪魔崇拝儀式だろ。この魔法陣見てみろよ」
さすがに藤也もし的にいった。
「悪魔崇拝? 馬鹿言うんじゃねぇーよ。どうせ黒歴史真っ只中の中學生の仕業だろ。あ、お前も年中中二病だったな」
空谷はちょっと挑発するような事も言っていた。杏奈もその可能が大いにあると思ったが、いくら中二病といっても貓殺すか?せいぜい暗黒なポエムを書いたり、難解な英単語や漢字をノートに書くぐらいではないか。まあ、藤也は今でも中二病っぽいと言うのは同意で、杏奈はちょっと居た堪れなくなってくるが。
「でも貓が死んでいるのよ?ちゃんと調査しなさよ」
杏奈は、イマイチやる気の無い空谷に釘を刺した。しかし、空谷は全くやる気を見せない。それどころか、ミケ子は自然死と勝手に判斷した。
「悪魔崇拝かどうかはわからないけれど、これは明らかに殺しでしょ。調査しなさいよ」
ちょっとキツい口調で言ったが、空谷には逆ギレし始めた。
「うっさい! 警察の俺が調査するんだ、素人は黙ってろ!」
逆ギレした空谷にはこれ以上何を言っても無駄だと悟った。
杏奈は、ミャーを抱えて、藤也と一緒に雑木林出て帰った。
意外な事に藤也は家まで送ってくれるという。商店街にある自販売機で暖かいお茶を奢ってくれた。添加りだから俺は飲まないなどと言って杏奈をし不快にさせたわけだが。
「それにしても誰がミケ子を殺したのよ。本當、この町でそんな事が」
藤也が添加りといったお茶でもあんなシーンを見た後では、し飲んでいて心はホッとした。
『悪魔崇拝よ』
腕の中にいるミャーは斷言する。
「俺も悪魔崇拝儀式だと思う」
その事については、ミャーも藤也も意見をかえないようだった。
という事は地平町に悪魔崇拝儀式をする結社員がいるという事?
そんなあり得ない!
杏奈はこの意見を認める事はどうしてもできなかった。
草魔法師クロエの二度目の人生
6/10カドカワBOOKSより二巻発売!コミカライズ好評連載中! 四大魔法(火、風、水、土)こそが至高という世界で、魔法適性が〈草魔法〉だったクロエは家族や婚約者にすら疎まれ、虐げられ、恩師からも裏切られて獄死した……はずなのに気がつけば五歳の自分に時が戻っていた。 前世と同じ轍を踏まぬよう、早速今世でも自分を切り捨てた親から逃げて、〈草魔法〉で生きていくために、前世と全く違う人生を歩もうともがいているうちに、優しい仲間やドラゴンと出會う、苦労人クロエの物語。 山あり谷あり鬱展開ありです。のんびり更新。カクヨムにも掲載。 無斷転載、無斷翻訳禁止です。
8 121パドックの下はパクチーがいっぱい/女子大の競馬サークルの先輩が殺された?著ぐるみの中で?先生、どうする? 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリー
京都競馬場のイベント。著ぐるみを著た女が階段から落ちて死んだ。その死に疑問を持った女子大の競馬サークルの後輩たちが調査を始める。なぜか、顧問の講師に次々と降りかかるわけの分からない出來事。 講師に好意を抱く女子學生たちの近未來型ラブコメディー&ミステリー。 講師の心を摑むのは、人間の女の子か、それとも……。 そして、著ぐるみの女の死は、果たして事故だったのか。推理の行方は。 「馬が教えてくれる」という言葉の意味は。 そして、妖怪が仕掛けた「合戦」によって得られたものは。 推理とはいえ、人が人を殺すという「暗さ」はなく、あくまで楽しく。 普通の人間、ゾンビ人間、妖怪、ペットロボットが入り亂れ、主人公を翻弄します。 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリーです。 錯綜したストーリーがお好きなミステリーファンの皆様へ。 第四章から物語は不思議な転換をし、謎が大きく膨らんでいきます。お楽しみに。 かなりの長編になりますので、少しづつ、ジワリと楽しんでいただけたら幸いでございます。
8 186小さき蒼雷の魔法使い
ある日、部屋で寢ていた少年がいた。次に目を覚ますとそこは見慣れぬ部屋だった... 「誘拐でもされちゃった?」 しかし、誘拐されたにしては自由すぎる...なにより身體に違和感がありすぎる!! 剣と魔法の世界に転生した少年はライガと名付けられ、世界を自由気ままに冒険して行くファンタジーです。 ※初めまして初投稿になります。 柊木凪(ひいらぎなぎ)と申します。 誤字脫字など気になったこと等コメントしていただけると嬉しいです。勿論高評価を頂けると泣いて喜びますので宜しくお願い申し上げます。 R15は保険になります。 × × × 新年明けましておめでとうございます。 新年になったついでに「柊☆黐」より「柊木凪」へ変更致します事をご報告致します。 ※深い意味はありません。 そして、今年も「小さき蒼雷の魔法使い」共々よろしくお願いします。 ※作品については改稿作業が難航していますので今しばらくお待ち下さい。
8 142ヤンデレ彼女日記
高校一年の夏休み前のある日、清楚で成績上位で可愛くて評判な同級生に告られた市川達也。(いちかわたつや)すぐさまOKしたが、彼女はヤバイ人だった…。
8 175美女女神から授かったチートスキル〜魅了〜を駆使して現代社會でたくさんの嫁を娶りたい!
幼児に戻って美少女開拓!一妻制には大反対!--- 結婚式の主役の新郎。彼の名は佐藤篤樹(サトウ アツキ)。彼は結婚式の途中で何故かしら神界へと飛ばされてしまった。 飛ばされた理由は彼が愛に関して不満があったからだ、と愛を司る美女の女神が言う。彼の不満の正體、それは女神の全てを見通す神眼によって明らかになった。 それは現代の日本では1人の女性としか結婚できないことである、 彼は女神そうに指摘されて、納得する部分があった。 そんな指摘を受け、今度こそ欲望に忠実に突き進もうとする彼に女神は力をいくつか授けた。その一つに【魅了】がある。 その力を駆使して主人公がいろんな可愛いヒロインを社會の常識に囚われることなくひたすらに攻略していく。 そんなわがままな主人公のハーレム作成の物語。 この主人公の行為が現代日本を救うことになるとは……
8 160友だちといじめられっ子
ある日から突然、少女はクラスメイトから無視をされるようになった。やがて教室に行かなくなって、學校に行かなくなって⋯⋯。 またある日、先生に言われて保健室に通うようになり、教室に行くのだが、影で言われていたのは「なんであいつまた學校に來てんの」。少女は偶然それを聞いてしまい、また保健室登校に逆戻り⋯⋯。 またまたある日、保健室に登校していた少女の元に、友人が謝りに。また教室に行くようになるも、クラスメイトに反省の意図は無かった⋯⋯。 遂には少女は自殺してしまい⋯⋯⋯⋯。 (言葉なんかじゃ、簡単にいじめは無くならない。特に先生が無理に言い聞かせるのは逆効果だとおもいます。正解なんて自分にも良く分かりませんが。) ※バトルや戀愛も無いので退屈かもしれませんが、異世界物の合間にでも読んで見て下さい。 (完結済~全7話)
8 99