《《完結》待されてる奴隷を救った、異世界最強の龍騎士》第65話「案

都市るときに、暗黒病にかかっていないか調べられた。しかし、質値を見ても驚かれることはなかった。

「ケルゥ侯爵から聞いております」

ということだ。

ケルゥ侯爵はどうやら龍一郎のことを歓迎してくれているらしい。ちなみに、エムールの質値は38だった。

エムールが、セリヌイアの都の町を案してくれることになった。どこに片付けたのか知らないが、エムールは完全に甲冑をぎ捨てての姿をさらけ出していた。

「黒騎士の姿は、クロエイ退治のときだけです

ということだ。

忙しい人だ。

しかし、甲冑をぎ捨てた彼の姿は――そのギャップ効果もあるかもしれないが――大変しく思えた。

フィルリア姫のような凄みのある人でもなければ、ベルのような儚げな魅力でもない。エムールの魅力は、キュとかたく結ばれたと、決意をめたようなチカラ強い瞳にあった。

「こうして見ると人ですね」

と、龍一郎は本音を吐した。

お世辭でもなんでもない、素のがこぼれ出た。

人ですか。――うん。いや、あまりカラカわないでください」

咳払いなんかをして、エムールはあからさまに照れていた。

「じゃあ、都市の案よろしくお願いします」

「はい。承知いたしました」

グランドリオンでもそうだったが、都には鉄筋コンクリートの建造が建ち並んでいた。ただ、グランドリオンのような巨木はなかった。

「たしか、グランドリオンでは、大きな樹が都市全に枝をばしてたんですけど」

「グランドリオンには、龍の尾と言われる大木がありますからね。どこにでも生えているものではありません。グランドリオンに比べると、やや見劣りするでしょう」

「いや、そんなことはないですよ」

同じゼルン王國という國の土地であるからか、都市の構造そのものに大差はなかった。領主館が中央にあり、周囲に町が広がっている。そしてコンクリートの城壁やら城門棟やらが建ち並んでいる。その外が、貧民街という構図だ。

龍一郎たちは都のストリートを歩いていた。

「そう言えば、リュウイチロウさま」

エムールが、あらたまった様子で切り出してきた。

「なんです?」

「その言葉づかいはおやめください。リュウイチロウさまは、シッカリと手続きを踏めば一國の王になれるぐらいの質値を持っているのです」

「あ、そうやって質値で人を見るのが、ダメなんじゃないですか?」

咎めるつもりはなかった。

冗談のつもりでそう言った。

「あ、いや、これは……」

と、エムールは本気で困っているようだった。真っ赤な髪と同じぐらい、顔を赤らめていた。

「冗談ですよ。でも良いんですか、エムールさんはオレより年上では?」

「私は18です」

「オレは16ですよ」

「しかしフィルリア姫お墨付きの相手と対等と話すのはどうも……」

そういうところに、エムールの生真面目な格が出ているようにぜられた。エムールのほうも、やりにくそうだったので、言葉を砕くことにした。

「それじゃあ、あらためてよろしく」

「はい。よろしくお願いします」

握手をかわした。

エムールの手はにしてはすこしゴツゴツしていた。

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