《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》16話 囮大作戦!?

杏奈は仕事を終えると、藤也の教會に直行した。ミャーを迎えにいく為だ。

鳩子の言っていた子高生が何か知っているのは間違いなさそうだ。ただ、子高生なんてこの町にもたくさん住んでいる。運良くその子高生に會えたとしても、正直に事を話してくれるかわからない。それに犯人かどうかもわからない。

今日店に來ていた子高生らしき客は何か知っていたりするのだろうか。し怪しい?ただ、貓を殺した犯人にも見えないし、確証もなにもない。

警察は信用できない。空谷がカルト信者とか、カルトと警察が関わっている事は定かではないが、ミケ子を殺した犯人を捕まえられると思えない。今現在行方不明になっているナァちゃんがいる事も気になる。

別に探偵とか全く興味はない杏奈だが、このままにしておくわけには行かない。藤也とミャーに意見を聞いても良いかもしれない。

そんな事を考えつつ、教會の階段をあがり、禮拝堂にる。

ミャーと藤也が何か騒いでもいるのが聞こえた。

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『いや! 銃価の會堂にって生贄儀式の証拠持ってくるなんて! 私が殺されるかもしれないのよ?』

「そこを何とか考えてくれよ。ミャーは一見貓なんだから、簡単に出來るだろう?」

『いや! 囮じゃん!』

「ちょっとミャー達、何をめているのよ」

テーブルでめている藤也とミャーに杏奈は割ってった。ミャーはを逆でて怒っていた。

詳しく話を聞くと、さっきまでミケ子の事件を藤也とミャーで話しあっていたらしい。

やっぱりミケ子を殺したのはカルト・銃価教會の犯行だと結論づけた藤也とミャーだった。どうやって証拠を摑もうかと考えていたところ、藤也がミャーが囮になって銃価に潛調査すれば良いと考えた。ミャーはの危険が及ぶ囮調査なんて絶対したくないと言いめているらしかった。

「ちょっと、そんな事でめてたの?」

杏奈は呆れてしまった。ミャーを囮に使うなんて杏奈も反対だし、カルトが関わっているというのも謀論だ。確実な証拠はない。

それにこうして藤也とミャーがめているのも心が痛む。二人で伝道や宣教をしようと燃えていたのに。

「藤也もミャーもちょっと疲れているのよ。し休憩しましょう」

杏奈はそう提案し、宅配ピザをとる事がした。ミャーは別に食べは必要ないが、キャットフードを開けて出してやった。ミャーを運んだキャリリーバッグのは貓用のトイレやおもちゃの他に一応キャットフードをいれておいた。無駄な子力が、こんな時のは役立つようだ。

ピザとポテト、チキン、コーラを食べて不機嫌になる人間は滅多にいないだろう。謀論好きの藤也はブツブツと添加や宅配ピザの大企業はイルミナティと文句をつけていたが、香ばしいチーズが溶ける香りには負けたようだった。

ちなみに杏奈の全額奢りである。一銭も出す素振りのない藤也に一瞬イラッとしたが、ミャーをカルトの會堂なんかには行かせられない。これでしは気分が治れば良いのだが。

「意外と不味くないな」

藤也は口元をピザソースだらけにして呟く。

「素直に味しいって言ったらどうなの? 素直じゃないな」

杏奈は苦笑してしまうが、久々に食べたジャンキーなピザは、不味くはない。子力のカケラもない料理が、メンタルには幸福をは運んでくる。そのかわり、明日の朝は胃もたれ決定だし、酷い場合はニキビができているかもしれないが。

ミャーもエサを食べてし落ち著いてきた。別に栄養素を摂っているわけでは無いだろうが、とりあえず食べると機嫌は良くなるようだ。そういえば高級キャットフードをあげると機嫌が良くなっていたのを思い出す。カフェ店長としても味しいもの食べて幸せそうな藤也とミャーを見ているのはいい気分だ。別に鼻歌とかは出てこないが。

「ところで、本當にミケ子を殺した犯人は銃価に連中なの?」

「そうさ。2013年の秋にもT県のM町で貓が大量に殺されている。長年やっていたようでM町の銃価の會堂跡地には、貓の骨はいっぱい埋まっているのが発見されている」

「え、本當?」

藤也はてっきり証拠などない謀論を披するのかと思ったら、これは証拠つきだった。杏奈はスマートフォンを取り出してネットで調べてみたが、藤也の言っていた事は大手ニュースサイトに掲載されていた。

ただ、実行犯の信者が逮捕されただけだったので、銃価教會の組織的犯行とはされなかったらしい。実行犯のカルト信者達もどっぷり洗脳されていたため、銃価の教祖や幹部達を悪く言えなかったらしい。まあ、このあたりは藤也の謀論だが、警察にも銃価の信者が大いため、本當は教祖や幹部達の犯行を末端の信者に濡れを著せた可能もあるという。

「いやね、カルトって」

『そうよ、最低。さっさと神仲直りすれば、こんな事にはならないのに!』

再びミャーは怒り始めてを逆でる。ますますこんなカルトの部にミャーを行かせるわけにはいかない。

「藤也、ダメよ。ミャーに囮調査だなんて」

杏奈はミャーを膝の上に抱えて、釘を刺した。

「ただ、銃価の可能もあるのかなぁ。今日、ミケ子の飼い主の鳩子さんにあったんだけど、警察からは自然死って言われたんだって」

「なんだって!」

『何ですって!』

藤也もミャーも驚いていた。しかし、すぐに笑えない事に気づいて真顔になる。

『あれはどう見ても殺しよ。自然であんなところで死ぬ?」

「しかもあの貓のそばには魔法陣があった。悪魔崇拝生贄儀式に決まってるぜ」

藤也はピザの耳にかぶりついて、イライラとしたように咀嚼していた。箱にったピザはすっかり空っぽだ。

杏奈が油をどっさり吸い込んだシナシナのポテトを摘む。ポテトはピザより味しくない。それでも何となくセットで注文してしまうのは、不思議なものだ。

「そもそも悪魔生贄儀式って何なのよ?どういい事よ?」

その事については杏奈がさっぱりわからない。貓を殺してどうなるっていうのか。単なる死になるだけじゃないか。だとしたら、スーパーぬある魚やでも捧げればいいじゃないか。合理的な杏奈は、そんな事をする理由がさっぱりわからない。

「だったらこの優秀な俺が、悪魔崇拝生贄儀式について説明してやるよ!」

藤也がウキウキとした聲を出しながら、禮拝室の隣にある面談室からホワイトボードを転がして持ってきた。軽くスキップまでしている。藤也はご機嫌だという事は伝わってくるが。

「は?」

杏奈は目が點になるが、ミャーは嬉しそうにミーミー鳴いていた。

「杏奈よ、ようこそ。牧師が語るディープな謀論の世界へ」

まるでこれから舞臺で劇でも始める役者のように、藤也は恭しくお辭儀をした。

まるで水を得た魚のようだった。この姿は、2ヶ月ぐらい寢不足の坂口健太郎に見えた。

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