《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》66話
ケニメイトは上下分かれている防だったから、下だけ著替えさせた。
防力のない普通のズボンだろうが、戦わせるつもりはないから大丈夫だろう。
汚れた手はまだまだ大量に殘ってる川の水で洗わせた。
ここまでしてもニータートは襲ってこなかった。
襲ってこない魔を狩るってのもなんか微妙なじだな。
まぁなんだかんだいっても最終的には狩るんだがな。こいつのは金になりそうだし。
「そういやイーラってに収納できるみたいなことをいってた気がするが、生なまものとかも保存できんのか?」
「もちろん!頭以外ならなんでも狀態維持したまま保存できるよ!凄いでしょ!」
「それは本當に凄いな。」
頭をすり寄せてきたからでてやる。
「エヘヘ〜。」
「じゃあ、ここにいる亀の生きを全部保存しといてくれ。甲羅は3つくらい殘して、あとは全部食べていいぞ。」
「は〜い。」
イーラは両手の指を針のように変化させて、一番近い亀に飛び乗った。
全く反応しない亀の首筋に両手を突き刺すと、亀が暴れる間もなく干からびた。
怖っ!
干からびた亀を放置して、次々とミイラを作していく。
全ての亀をミイラに変えた後、今度は手を振って細い蜘蛛の糸のようなものを飛ばして、亀を絡めて吸収した。
もうイーラはなんでもありだな。
久しぶりに進化許可申請がきたが、もちろん許可だ。
イーラの種族を確認すると"大食変異スライム"になっていた。
たしかに大食だからな。
どうせたいした変化もないだろうから、確認はしなくていいか。
イーラは俺の指示通り3つだけ甲羅を殘して、他は綺麗に捕食したようだ。
いや、ケニメイトが隠れていた甲羅とその近くにあったトイレにしてたっぽい甲羅も捕食しなかったようだから、全部で5つ殘っている。
さすがにイーラもなんでも食べるわけではないようだな。
殘った甲羅のうち汚い2つは放置して、3つはアイテムボックスにれた。
そんで1人じゃ立てないケニメイトを脇に抱えてアリアたちの元に戻った。
「待たせたな。」
「…無事に見つけられて良かったです。」
「だいぶ弱ってるみたいだから、自分で歩けるくらいに治してやれ。」
「イーラの薬をちゃんと飲んでればもう治ってるのに!」
イーラがブーブーいってるが、いきなり飲まされたのが魔の何かだといわれりゃ吐き出すだろ。魔を生のまま食べてるイーラにはわからない覚だろうがな。
ん?前にイーラに飲まされた疲労が回復するも魔の何かなのか?
思い出したら気持ち悪くなってきた。
セリナがイーラの頭をでてなだめている。
さすが年長者だな。
いや、今は年長者じゃなかったな。ステータス表記的にも神的にも年長者はアオイだったわ。
神年齢だったらむしろおばさんだろうしな。
『リビタライズ』
『ハイヒーリング』
『フェルトリカバリー』
さすがアリアというべきか、ケニメイトは普通に戦えるだろう狀態まで治ったようだ。
「それじゃあ、アイン。こいつはそっちのパーティーにれてくれ。」
俺は一時といえど、奴隷以外をパーティーにするつもりはないしな。
それに俺のパーティーは既に定員オーバーだ。
本當なら奴隷以外を連れていたくもないが、今日に限ってはこんだけチームとして他者と共闘してるのだから、もう1人増えたところで変わらないし、諦めている。
「かしこまりました。」
「ローウィンス様!?え!?あの、よ、よろしくお願いいたします。」
ケニメイトはスカートではなくパンツスタイルだが、太ももあたりの生地を軽く摘んで足を差させて姿勢を低くして、深く腰を折って挨拶をした。
「はい。よろしくお願いしますわ。ケニメイトさん。」
それに対して第三王は微笑んだだけだった。
まだ名前を伝えていないのに知ってるってことはもともとの知り合いみたいだな。
なら放置でいいや。
危なければ第三王の護衛がなんとかするだろう。
けっきょくこの階の魔とは戦っていないが、ほぼ一周したのに見かけないってことはまだ新しく生まれていないのだろう。
仕方ないから次に進むとしよう。
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