《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第484話 帝蟻の脅威

あれ? ここ城の中じゃないな……どこだ?

目が覚めてすぐの視界には上空へ続くキノコ巖と源だけが浮かんだ黒い闇夜が広がっている。

數秒か、數十秒か、ほんのしの間だけ気絶していたらしく、次に気付いた時には城ではない土の地面に仰向けで寢そべっていた。

「どういうこと? 私は確かボレアース城で戦っていたはず……」

徐おもむろに起き上がり、腕やその他の部位を見ると煤すすで真っ黒になっていた。

周囲を見回すと近くには巨大な巖石やその破片、何らかの建の一部である瓦礫の山が多數落ちている。

幸いにも巖石の下敷きになってなくて助かった。潰される心配は無いが、下敷きになっていたら這はい出るのが大変だった。

ここで額に手を當てて思い起こしてみる。

覚えてる限りでは……帝蟻がブチギレて、帝の脇腹から生えた三本目、四本目の腕で拘束されたまま、炎を纏まとった拳で滅多打ちにされたのは覚えてる。

凄い數の発音がしてたのも覚えてる。多分何度も顔面に発を浴びせられたんだろう。

Advertisement

崖下に寢ていたってことは……ボレアース城の地下を貫き、土臺であるキノコ巖も貫いて落ちて來たってことになるのか? 周囲に落ちてるでかい瓦礫は城の一部かな? もしかしたら城は跡形も無いかも……

手腕を見る限り、顔も煤すすけてるかもしれない。

一応顔を両手で拭い、近くに落ちていた『真剣斬まじきり丸』を拾い上げる。

その直後――

「キサマ……」

その言葉に悪寒が走り、振り向くと帝が仁王立ちしていた。

「城が崩壊するほどの炎を喰らわせたのに頭が吹き飛ぶどころか、無傷か? どうなっておる……不死なのか?」

『真剣斬まじきり丸』で付けた傷は、左腕の方はもうほぼ塞がっており、【樹】で溶けた視力も元通りになっているらしい。

ただ、切斷寸前だった右腕は炎の魔力を纏まとって連打したためか、焦げて燻くすぶっていた。

が、次の瞬間自の右腕を切斷。そして炎を上げる火の霊のような姿に変するとみるみるうちに再生し、全て元通りに。

Advertisement

再生後、炎の姿から再びエルフの姿に戻った。

「そ、その姿は……?」

私が容姿について聞くと、なぜか機嫌が良くなる。

「おお! わらわの見た目に言及したのはそなたが初めてだぞ! この姿が特に気にっておっての、普段はこの姿を取ることにしておるのじゃ! しいじゃろこの姿は」

エルフの姿が特にお気にりか……さっきの火の霊のような姿も、帝が変する一つの形態ということか。なぜか機嫌が良くなったし詳しく聞いてみよう。

「さ、さっきの炎のような姿は……?」

「あれはを回復する時にだけ変するようにしておる。あの姿になるとなぜか回復が早くなるのでな。あの姿もって綺麗じゃが、朧気おぼろげで今にも消えてしまいそうなところはあまり好きではなくての、怪我を治すために一時的に変したのじゃ」

どうやらあの火の霊のような姿に変すると、再生力が著しく上がるようだ。

確か……霊は大気中の魔素を吸収することで再生力を上げるという話だったはず。あの火の霊のような姿に変化することによって魔素の吸収を促進させられるんだろう。

Advertisement

火の霊の姿を取れるということは火の霊も食ってるということになるな……

「しかし不死か……死なないのでは面倒だな……だが、そなたの態度は明らかにわらわに勝てるというような態度ではないな。焦りのようなものも見えておるし」

魔王相手だから、心が態度にも出ていたか!? 余裕の無さを見抜かれてしまっている。

「と言うことはそなたにダメージを與えられる攻撃もあるということか? まあ良よい。幸いわらわも簡単には死なぬをしておる。ならば殺せる方法を探し出すだけじゃ」

あれだけ炎の拳の連打を喰らわせて、全くダメージを與えられなかった私に対し、驚愕せず不安も恐怖も微塵も見せず、ダメージを與える確信があるわけでもないのにニヤリと笑って見せた。

この瞬間じていた悪寒が倍増、そしてこう思ってしまった。

『私では“絶対に”勝てない……』

と……

もし、彼が自の風魔法の特質に気付いてしまったら、一瞬で殺され得るのは明白!

魔王と私でここまで差があるものなのか……

同じ魔王であるレヴィやアスモと対面してもここまで脅威とじたことは無い。それは彼らが臨戦態勢ではなかったからということだからかもしれない……

殺意を持った魔王というのはここまでどうしようもないと思わせられるのか……ルシファーと対峙した時にはごく短い時間で撤退したからそう思うこともなかったのだろう。

冷や汗が顔を伝って流れる。

心恐怖をじていると、帝がまたも視界から消えた。

次の瞬間には髪のをワシ摑みされ、そのものをブンブン振り回されていた。

「うわわわっ!!」

「それ! 飛んで行け!」

勢い良く振り回された後にぶん投げられ、キノコ巖の巖壁にぶつかる。

更に追い打ちで、巖壁に埋まったままお腹に連打を喰らい、がどんどんキノコ巖に埋まっていく。

埋まってもなお連打は続き、最後にはキノコ巖が倒壊、私は更に水平に吹き飛ばされ、ボレアースの街のある山から叩き出されたらしい。

気付けば上空に投げ出されていた!

連打も終わったかと思いきや背中に羽を生やした狀態で追いつかれ、しばらく空中遊泳した後、最後には地面へ叩き落される。

地面が丸く抉えぐれるほど強烈に叩き付けられたが痛みは全く無い。

だが……

「う……」

い、痛くは無い、痛くは無いが、凄まじい早さで投げられたり一瞬にして場所を強制的に移させられたりするから、自分がどこに居て、どんな姿勢で居るのか認識するまで頭が混する……

そしてまた髪のをワシ摑みにされて、引きずられる……

「ほほう、素晴らしいな、これだけわらわの攻撃を浴びてなお無傷とは。さて、どんな攻撃なら傷を付けられるのかのう?」

口調が元に戻っている。

怒りが収まったらしいが、むしろ現在の方が私に恐怖心を抱かせる。

く……くそ……う、きが早過ぎてまだ頭が混している……な、何とかこっちからも攻撃を……

と思い右手に持っているはずの『真剣斬まじきり丸』で抵抗しようとしたが、手元に無い!

毆られまくった時にどこかへ落としたか!

「お? そなたが使ってた刀とやらが落ちておるぞ。わらわのに傷を付けたこれなら、流石のそなたにも傷が付くのではないか?」

連打を喰らっている間に偶然にも私と一緒に飛んで來たのか?

目に見える範囲にあったらしく、先に帝に見つけられてしまった!

髪のをワシ摑みにされたまま引きずられ、帝が刀を手にする。

「ではわらわの腕に傷を付けた、その悪い子の腕をいただこう」

と刀を振り下ろすも、『ガキキッ!』という金屬音を出して刃が止まる。

「なにぃ? これでも傷が付かんのか? そういえばさっきは小刻みに振しておったな。魔力を流すのか?」

『真剣斬まじきり丸』が振する刃に変わる。

「ふむ、なるほど、これで切れ味を増すのか」

その振する刃で斬り付けるも、『ギュイイィィィン!』という音と共に激しい火花を散らし、それでも私のに傷は付かない。

「なんと! これでもダメとは! 火花まで散っておるぞ!? そなた、本當に生なのか!?」

やっと頭がはっきりしてきた。

「いい加減に離しなさい!! 【炸裂する炎エクスプロージョン】!」

髪を摑まれながらも魔力を溜め、自分を中心に広範囲に火魔法を炸裂させる。

帝蟻は、危険をじたのか私から手を離して距離を取った。

やっと髪のから手を離されたため、まず位置確認。

周囲を見回すとどうやら平原のようなところへ叩き落されたらしい。キノコ巖の崖下のように壊れるものが近くに無いから多戦い易くなったかもしれない。

「自紛いのことをやっても無傷とは……そなたのには本當に驚かされる。わらわですら微かだが火傷してしまったと言うのに……」

髪のは離してもらえたが、依然真剣斬まじきり丸は帝の手にある。

あれを何とか取り返したいが……

「そなたに傷を付けられぬのならこんなものはいらんな」

しめた! 捨てるつもりか!

何とか拾って取り戻そう…………と思ったところ。

バキッ!と刃をへし折られ、炎でドロドロに溶かされた……

「これでわらわのに傷は付かん。一安心じゃ」

ぐっ……じゃ、じゃあもう一度作るまでだ。

『真剣斬まじきり丸』バージョン2を作った。

「おぉ!? 何じゃそなた! 簡単に作れるのか!?」

「ええ、奪われても壊されてももう一度作るから無駄よ」

さっきの『もう一度似たような増える能力を持つ者を産めば済むだけではないか!』というセリフへの意趣返し。

「じゃあ再開しようか」

今度はこちらから仕掛ける。

切れ味を増すために風魔法を『真剣斬まじきり丸Ver.2』に付與し魔法剣に仕立てる。

帝に飛び掛かり、素早く袈裟斬りを繰り出す。

が、半歩下がって危なげ無く回避されてしまった。

すかさず返す刀で右薙ぎ。

しかし、これも半歩下がってあっさりと回避。

「………………」

そこからは素早く連続して刀を繰り出す。

袈裟斬り、右薙ぎ、一回転して橫薙ぎ、左逆袈裟斬り、左薙ぎ、逆袈裟斬り、脛斬り…………と連続で繰り出すも、全て難無く回避されてしまった!

「フッ……如何に切れ味鋭い刀とて、當たらなければどうと言うことはないのう」

ま、全く當たらない!

相手の素早さが格段に上だから掠かすりすらしない!

切れ味に警戒しているのか防しようともしない!

ならばと最後に刀を鞘に納める。

「お? もう終わりか?」

素早く距離を詰め、居合斬りを繰り出す。

「おお! これは中々早い一撃じゃ……」

が、『ガギギ、パァン!』と言う音で弾かれてしまった。

「そ、その腕は?」

「見たことないか? 亀の甲羅というヤツじゃ」

右腕に甲羅の盾が出現している。またを変化させて盾を作り出したんだ。

本來は背中にあるべきものなのに……本來の場所じゃないところにも作り出せるってことなのか?

「お、思った通りそのよく切れる刀でも甲羅は斬り難いようじゃな」

確かに……いうえに丸みを帯びた甲羅は、如何に振で切れ味が増している刀と言えど斬るのはむずかしいようだ。

ここまでことごとく攻撃を無力化されてしまうとは……

かと言って、魔法合戦を挑もうにも、あちらは私の魔力の三倍……

「もう萬策盡きたか? だが、まだそなたの魔法は炎を炸裂させたものしか見せられたおらんぞ? もっと手はあるのだろう? そなたはわらわの力を持ってしても簡単に死なぬ稀に見る存在だからな。もっと楽しませよ」

魔法合戦をおみなのか?

ずっと帝蟻のターン!

今回の戦闘は、城の中⇒崖下⇒山から叩き出されて平原と、舞臺が目まぐるしく変わりますね。

次回は7月4日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

第485話【魔法合戦の果てに……】

次話は木曜日投稿予定です。

    人が読んでいる<天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭な肉體と便利スキル『創成魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください